文章

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向田邦子のエッセイ集『無名仮名人名簿』を読んでいる。

今まで単発的には読んだことはあるが、「集」としてこの人のエッセイを読むのは初めてだ。

今さら言うまでもないが、とにかく文章が上手い。簡潔な文の中で状況、心の機微を過不足なく書いている上にユーモアも忘れない。

これくらい凛とした文章を書きたいと思うのだけれど、しらずしらずの内に余計な言葉を重ねてしまうんだよなあ。

”祖父は、女房の悪たれ戦術にはひとことも答えず、言われれば言われるほど、更に自分用のとんがらしを振りかけた。

黙々として赤いおみおつけをすする祖父の鼻の先が、まず赤くなり、それから顔中が赤くなり、汗が吹き出てくる。顔もしかめず、くしゃみもせず、祖父はおみおつけをゆっくりと吸い終った。”「七色とんがらし」

 

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